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太宰治『人間失格』~道化と狂気のモノロギスト~
2019年11月16日 (土)
|アトリエ第Q藝術1Fホール(成城学園)成城2丁目38−16
『自分は、しばらくしゃがんで、それから、よごれていない個所の雪を両手で掬い取って、顔を洗いながら泣きました。』(作品から引用) 真実と虚実の谷間を彷徨う男一人。虚ろな目に映るのは、過ぎ去っていく一切。 出演:おとがたり 朗読とヴァイオリンの世界 長浜奈津子(朗読) 喜多直毅(ヴァイオリン)
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日時・場所
2019年11月16日 (土)
アトリエ第Q藝術1Fホール(成城学園)成城2丁目38−16, 日本、〒157-0066 東京都世田谷区成城2丁目38−16
イベントについて
太宰治『人間失格』
~道化と狂気のモノロギスト~
『自分は、しばらくしゃがんで、それから、よごれていない個所の雪を両手で掬い取って、顔を洗いながら泣きました。』(作品から引用)
真実と虚実の谷間を彷徨う男一人。
虚ろな目に映るのは、過ぎ去っていく一切。
東北の田舎の裕福な家庭に生まれ育った葉蔵。厳格な父の存在と使用人による性的虐待が、彼の心に初源的な無力感と対人恐怖を植え付ける。彼にとって人間環境は過酷であり、そこを生き抜く術として葉蔵は人々の気持ちを先読みし、道化を演じる事により『気に入られる』ように務める。それは彼の恐れと弱さを覆い隠し、人々の好意を得るためには十分であったが、人を欺き続ける罪悪感も同時に強く抱えることになる。成人した後も人間恐怖は心の中で肥大し続け、激しく彼を苛むものとなった。他者に対する恐れ、不信感、諦めは、葉蔵を優しく庇う女性達に対しても抱かれた。やがて全てに絶望した葉蔵は死を希求する。このような精神状態が続く中、アルコールと薬物への依存は悪化し、遂に彼の人格は荒廃した。しかし発狂の後、彼の心にやっと初めての凪が訪れる。
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